○医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令及び薬事法施行規則の一部を改正する省令の施行について
(平成16年9月22日)
(薬食発第0922005号)
(各都道府県知事・各政令市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局長通知)
薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号。以下「薬 事法等一部改正法」という。)については、平成14年7月31日付厚生労働省発医薬第0731011号各都道府県知事あて厚生労働省事務次官通知「薬事法 及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律について(依命通知)」によりその概要が示された。
また、薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成 15年政令第534号)及び薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成15年政令第 535号。以下「整備政令」という。)が平成15年12月19日に、薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成16年厚生労働省令第112号)が平成 16年7月9日に公布され、同日付薬食発第0709004号各都道府県知事ほかあて厚生労働省医薬食品局長通知「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法 の一部を改正する法律等の施行について」が示された。
本日、薬事法等一部改正法による改正後の薬事法第12条の2第2号の規定に基づき、「医薬品、医薬 部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第135号)」が公布され、また、「薬事法施行規則の一部を 改正する省令(平成16年厚生労働省令第134号。以下「一部改正省令」という。)」が公布され、薬事法等一部改正法による改正後の薬事法第18条第3項 の規定に基づく製造販売後安全管理に係る業務の委託に関する規定が示された。これらについては、それぞれ平成17年4月1日より施行することとされたとこ ろ、貴職におかれては、下記事項に御留意の上、貴管内市町村、関係企業、関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、適切な指導を行い、その実施に遺 漏なきを期されたい。
なお、この通知において、薬事法等一部改正法による改正前の薬事法(昭和36年法律第145号)を 「旧法」と、改正後の薬事法を「法」と、整備政令による改正後の薬事法施行令(昭和36年政令第11号)を「令」と、一部改正省令による改正後の薬事法施 行規則(昭和36年厚生省令第1号)を「規則」と、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第136 号)を「GQP省令」と、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第135号)を 「GVP省令」と、それぞれ略称する。
第1 趣旨
医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器(以下「医薬品・医療機器等」という。)の市場責任を明確 化し、市販後安全対策の充実・強化、国際整合性の確保等を図るため、今般の改正法により、企業が医薬品・医療機器等を市場に提供するにあたっての厚生労働 大臣の関与を見直し、平成17年4月1日より、従来の製造業・輸入販売業許可体系より製造販売業許可体系に移行することとした。法第12条の規定により、 医薬品・医療機器等の種類に応じ厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ業として医薬品・医療機器等を製造販売してはならないこととするとともに、今般、 法第12条の2の規定に基づく製造販売後安全管理の基準(GVP省令)を公布し、製造販売業許可の要件としての基準への適合を求めるものである。
また、製造販売後安全管理に係る業務のうち委託することができる範囲については、法第18条第3項の規定に基づく規則第97条に示されているところ、今般、法第18条第3項の規定に基づく当該委託の方法について製造販売業者が遵守すべき事項を示した。
第2 医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令について
1.総則(第1章関係)
(1) 趣旨(第1条関係)
法第12条の2第2号の規定に基づく医薬品・医療機器等の製造販売後安全管理に関する基準として、新たにGVP省令を定めたこと。GVP省令は製造販売業の許可の要件であること。
現行の「医薬品の市販後調査の基準に関する省令(平成9年厚生省令第10号。以下「GPMSP省 令」という。)」との比較においては、GPMSP省令を適正使用情報の収集、検討及び安全確保措置の実施等に係る市販後安全対策に関する部分と、再審査・ 再評価資料の収集・作成のために実施する試験・調査に関する部分とに分け、前者を整理して医薬品の製造販売業者が実施すべきGVP省令として定めたこと。 後者については、今後、厚生労働省令として別途規定する予定であること。
なお、GVP省令は製造販売業の許可の要件であるが、新規の許可申請時には、例えば教育訓練や自己 点検など、その実績がないうちに申請がなされるものと想定される。このような要求事項については、申請者が手順書や実施計画書などを予め整備しているな ど、許可後直ちに実施可能な体制を構築していることをもって、当該要件を満たすものと判断すること。
(2) 定義(第2条関係)
ア.「安全管理情報」、「安全確保業務」、「安全確保措置」、「市販直後調査」、「医薬情報担当者」「医療機器情報担当者」、「第1種製造販売業者」、「第2種製造販売業者」及び「第3種製造販売業者」の定義を定めたこと。
イ.安全確保業務とは、法第12条の2に規定する製造販売後安全管理(品質、有効性及び安全性に関す る事項その他適正な使用のために必要な情報の収集、検討及びその結果に基づく必要な措置をいう。)のうち、GVP省令で規定する総括製造販売責任者が行う 業務(GVP省令第9条第3項及び第14条又は第15条で準用する第9条第3項の規定に基づき総括製造販売責任者の業務の一部を安全管理責任者に行わせる 場合を含む。)並びに自己点検及び製造販売後安全管理に関する業務に従事する者に対する教育訓練に係る業務を除いた業務であること。
ウ.市販直後調査については、法第79条第1項の規定に基づき個別医薬品の承認の条件として付されるものであり、当該医薬品の販売開始後6ヶ月間、診療において当該医薬品の適正使用を促し、必要な副作用等に関する情報を迅速に把握するために行うものであること。
市販直後調査については承認の条件として付されるものであることから、その医薬品が第49条第1項 に規定する厚生労働大臣の指定する医薬品(以下「処方せん医薬品」という。)である場合にはGVP省令第10条に基づき、処方せん医薬品以外の医薬品であ る場合にはGVP省令第14条により準用する第10条の規定に基づき、適切に実施すること。
なお市販直後調査の定義中、「診療において」とは、「日常の診療等における医薬品の使用実態下において」を意味し、製造販売業者と個別医療機関等の契約等に基づき特別な調査・研究等を行うような状況下については想定しないこと。
エ.GVP省令は全ての製造販売業者(令第36条第3項の規定に基づき、薬局製造販売医薬品の製造販売業者を除く。)に適用されること。
また、処方せん医薬品又は高度管理医療機器の製造販売業者を第1種製造販売業者と、処方せん医薬品 以外の医薬品又は管理医療機器の製造販売業者を第2種製造販売業者と、医薬部外品、化粧品又は一般医療機器の製造販売業者を第3種製造販売業者と定め、第 1種製造販売業者についてはGVP省令第1章、第2章及び第5章が、第2種製造販売業者についてはGVP省令第1章、第3章及び第5章が、第3種製造販売 業者についてはGVP省令第1章、第4章及び第5章が、それぞれ適用されること。
2.第1種製造販売業者(処方せん医薬品又は高度管理医療機器の製造販売業者)の製造販売後安全管理の基準(第2章関係)
処方せん医薬品又は高度管理医療機器を取り扱う製造販売業者については、当該製造販売業許可の要件 としてGVP省令第1章及び第5章の他、第2章が適用されるところ、第2章に関しては以下の点に留意すること。なお、令第9条第1項の規定により、高度管 理医療機器に係る第1種医療機器製造販売業許可を受けた者は、管理医療機器に係る第2種医療機器製造販売業許可及び一般医療機器に係る第3種医療機器製造 販売業許可を受けたものとみなすこととされている。他方、医薬品については、同一法人が第1種医薬品製造販売業許可及び第2種医薬品製造販売業許可の両方 を受けて処方せん医薬品及び処方せん医薬品以外の医薬品を取り扱う場合があり、この場合、当該法人は、第1種医薬品製造販売業に係る製造販売後安全管理と 第2種医薬品製造販売業に係る製造販売後安全管理について、必要に応じ適切に連携を図ること。
(1) 総括製造販売責任者の業務(第3条関係)
ア.規則及びGQP省令等で規定することの他、製造販売後安全管理に係る総括製造販売責任者が行うべ き業務として以下のとおり定めたこと。その他製造販売後安全管理に係る総括製造販売責任者が行うべき個別具体的業務(委託に係る業務を除く。)について は、GVP省令の各条で規定したこと。
@ 安全管理責任者を監督すること。なお、GVP省令第3条の監督規定の他、総括製造販売責任者は GVP省令に基づき安全管理責任者からの報告を受け、また安全管理責任者に対し必要な指示を行うことが求められており、製造販売業者は、総括製造販売責任 者及び安全管理責任者の業務に支障のないよう配慮すること。
A 安全管理責任者の意見を尊重すること。
B 安全管理責任者と、品質保証責任者その他必要な責任者との密接な連携を図らせること。
イ.総括製造販売責任者は、規則第87条第2号の規定に基づき、その業務を公正かつ適正に行うために 必要があると認めるときは、製造販売業者に対し文書により必要な意見を述べ、その写しを5年間保存することが求められている。また、規則第92条第8号の 規定に基づき、製造販売業者は、総括製造販売責任者の意見を尊重することとされているところ、これら規定についても留意すること。
(2) 安全確保業務に係る組織及び職員(第4条関係)
ア.第1種製造販売業者は、安全管理統括部門を設置すること。安全管理統括部門は、以下の要件を満たすこと。
@ 総括製造販売責任者の監督下にあること。
A 安全確保業務(規則第97条に規定する範囲の業務を委託する業務及び安全管理実施責任者に行わせる業務を除く。)について、これを適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する人員を十分に有すること。
B 医薬品・医療機器等の販売に係る部門その他安全確保業務の適切な遂行に影響を及ぼす部門から独立 していること。なお、この規定は、安全管理統括部門が取り扱う安全確保業務のうち特に安全管理責任者による安全管理情報の検討、安全確保措置の立案等業務 について、これらを専ら科学的見地から行うことを確保し、採算性といった営業的見地からの影響を極力排除するために設けられた規定である。このような観点 から「その他安全確保業務の適切な遂行に影響を及ぼす部門」としては、例えば株式や社債等の株式市場等業務に関する部門、他の製造販売業者等との合併等業 務に関する部門などが該当すること。
イ.第1種製造販売業者は、安全確保業務の責任者として、安全管理責任者を置くこと。安全管理責任者としては、次のすべての要件を満たすこと。
@ 安全管理統括部門の責任者であること。
A 安全確保業務その他これに類する業務に3年以上従事した者であること。なお、この規定は、処方せ ん医薬品又は高度管理医療機器に係る安全確保業務の責任者として、製品に生じるリスクを勘案し、安全確保業務に関する経験を十分有する等、関係業務を熟知 した者であるべきことから設けられた規定であり、「その他これに類する業務に3年以上従事した者」としては、GPMSP省令に規定する市販後調査管理部門 に関する業務(市販後調査管理責任者の業務を含む。)若しくは市販後調査実施責任者の業務、「医療用具安全性情報の収集等の徹底について(平成13年3月 30日付医薬発第296号医薬局長通知)」に規定する市販後調査責任者の業務、再審査若しくは再評価に関する業務又は旧法第68条の8に基づく感染症定期 報告若しくは旧法第77条の4の2に基づく副作用等報告に関する業務について、これらを主たる業務として3年以上従事した者などが該当すること。なお、 「医薬情報担当者」又は「医療機器情報担当者」としての3年間の実務経験(市販後調査実施責任者又は安全管理実施責任者としての経験を除く。)のみをもっ て、「安全確保業務その他これに類する業務に3年以上従事した者」に該当するものとは認めないこと。
B 安全確保業務を適切に遂行しうる能力を有する者であること。
C 医薬品・医療機器等の販売に係る部門に属する者でないことその他安全確保業務の遂行が不公正にな るおそれがない者であること。なお、この規定は、安全管理責任者による安全管理情報の検討、安全確保措置の立案等業務について、これらを専ら科学的見地か ら行われることを確保し、採算性といった営業的見地からの影響を極力排除するために設けられたものである。このような観点から「その他安全確保業務の適切 が不公正になるおそれがある者」としては、例えば株式や社債等の株式市場等業務に関する部門、他の製造販売業者等との合併等業務に関する部門に属する者な どが該当すること。
ウ.第1種製造販売業者は、規則第97条に規定する範囲の業務を委託する場合及び安全管理実施責任者 に行わせる場合を除き、安全確保業務を安全管理責任者に実施させなければならないこと。即ち、安全管理責任者は安全管理統括部門の責任者であることから、 当該業務は安全管理統括部門で実施すること。
エ.第1種製造販売業者は、安全確保業務のうち、規則第97条に規定する「委託可能な業務の範囲」に 該当する業務を当該製造販売業者の安全管理責任者以外の者に実施させることができること。この場合、その責任者として、当該業務を適正かつ円滑に遂行しう る能力を有する当該業務の実施に係る責任者として安全管理実施責任者を設置すること。安全管理実施責任者については、当該業務の適正かつ円滑な遂行のため に適切な範囲の業務量を勘案し必要な人数を確保すること。適切な範囲の業務量としては、例えば安全管理情報の収集について医薬情報担当者又は医療機器情報 担当者が実施する場合、営業所規模、支店規模、地域ごとなど、取り扱う品目の性質や流通状況などを勘案して判断し、適切に設置すること。なお、第1種製造 販売業者が当該業務を委託する場合、委託先に受託安全管理実施責任者を設置する必要があり、本件についてはこの通知中第3(3)を参照すること。
(3) 製造販売後安全管理業務手順書等(第5条関係)
ア.第1種製造販売業者は、製造販売後安全管理を適正かつ円滑に行うため、次に掲げる製造販売後安全 管理業務手順書を作成すること。また、製造販売業者は、当該手順書を作成し又は改訂したときは、当該手順書にその日付を記録し、これを保存すること。な お、当該製造販売業者において、市販直後調査を行うべき医薬品を取り扱っていない場合、市販直後調査に関する手順書(下記E)の作成は要しないこと。
@ 安全管理情報の収集に関する手順
A 安全管理情報の検討及びその結果に基づく安全確保措置の立案に関する手順
B 安全確保措置の実施に関する手順
C 安全管理責任者から総括製造販売責任者への報告に関する手順
D 安全管理実施責任者から安全管理責任者への報告に関する手順
E 市販直後調査に関する手順
F 自己点検に関する手順
G 製造販売後安全管理に関する業務に従事する者(総括製造販売責任者、安全管理責任者及び安全管理実施責任者を含む。)に対する教育訓練に関する手順
H 製造販売後安全管理に関する業務に係る記録の保存に関する手順
I 品質保証責任者その他の処方せん医薬品又は高度管理医療機器の製造販売に係る業務の責任者との相互の連携に関する手順
J その他製造販売後安全管理に関する業務を適正かつ円滑に実施するために必要な手順
イ.第1種製造販売業者は、製造販売後安全管理に関する業務に従事する者の責務及び管理体制を文書に より定めること。第1種製造販売業者は当該文書を作成し又は改訂したときは、当該文書にその日付を記録し、これを保存すること。この他、必要に応じ、製造 販売後安全管理の適正かつ円滑な業務遂行のために必要な文書を作成すること。
ウ.総括製造販売責任者又は安全管理責任者は、安全確保業務の円滑な実施のために必要な事項を文書に より定めること。当該文書としては、例えば業務手順書の細則を定めたものなどが該当すること。また、文書作成者は、当該文書を作成し又は改訂したときは、 当該文書にその日付を記録し、これを保存すること。
エ.第1種製造販売業者は、総括製造販売責任者がその業務を行う事務所に、手順書、上記イ及びウに関 する文書並びにその取り扱う処方せん医薬品又は高度管理医療機器の安全性に関する文書(例えば当該品目に係る添付文書、当該品目に係る承認申請時の安全性 に関する必要な資料など)その他必要な文書(以下「製造販売後安全管理業務手順書等」という。)を備え付けること。
また、第1種製造販売業者は、総括製造販売責任者が業務を行う場所以外で安全確保業務を行う場合、 例えば情報技術の活用などにより安全管理責任者と総括製造販売責任者が同一事務所に所在しない場合の安全管理責任者が業務を行う事務所、総括製造販売責任 者が業務を行う場所以外の場所で安全管理実施責任者が安全確保業務を行う場合(安全管理責任者が総括製造販売責任者と同一の事務所に所在するか否かに関わ らず)、当該場所にその取り扱う品目に係る製造販売後安全管理業務手順書等の写しを備え付けること。なお、安全管理責任者が総括製造販売責任者と同一事務 所に所在する場合、当該手順書等の写しを更に当該事務所に備え付ける必要はないこと。
(4) 安全管理責任者の業務(第6条関係)
安全管理責任者が行うべき業務として以下のとおり定めたこと。その他安全管理責任者が行うべき個別具体的業務(委託に係る業務を除く。)については、GVP省令の各条で規定したこと。
ア.安全確保業務を統括すること。
イ.安全確保業務が適正かつ円滑に行われているか確認し、その記録を作成し、保存すること。
ウ.安全確保業務について必要があると認めるときは、総括製造販売責任者に対し文書により意見を述べ、その写しを保存すること。
(5) 安全管理情報の収集(第7条関係)
ア.安全管理責任者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、以下に掲げる安全管理情報を収集 し、その記録を作成するとともに、適切に保存すること。また、法第77条の3第2項の規定に鑑み、製造販売業者は、医療関係者に対し、製造販売業者等が行 う医薬品又は医療機器の適正な使用のために必要な情報の収集について協力を求めること。
@ 医療関係者からの情報
A 学会報告、文献報告その他研究報告に関する情報
B 厚生労働省その他政府機関、都道府県及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構からの情報
C 外国政府、外国法人からの情報
D 他の製造販売業者等からの情報
E その他安全管理情報
イ.安全管理情報の定義としては、GVP省令第2条に「医薬品等の品質、有効性及び安全性に関する事 項その他医薬品等の適正な使用のために必要な情報」と規定されている。このうち、品質に関する情報については、GQP省令で規定する品質保証責任者により 関連する製造業者から入手することが一般的と考えるが、これら情報についても安全管理情報に含まれること。他方、品質保証責任者が入手した情報のうち、品 質に関する情報については引き続きGQP省令に基づき品質保証責任者等が必要な検討・措置を行うことから、これら情報のうち、明らかに品質保証責任者が処 理するべきものなど、当該情報の安全管理責任者と品質保証責任者間のやりとりの必要性、その範囲、対応方法などについては、品質管理業務手順書及び製造販 売後安全管理業務手順書等に予め定めておくこと。また、安全管理情報の収集にあたっては、安全管理責任者は品質保証責任者その他の製造販売後安全管理に関 係する部門の責任者と密接な連携を図ること。
ウ.例えば国際的に流通する医薬品の場合、CCSI(Company Core Safety Information)が見直されるごとにその内容について検討するとともに必要に応じて本邦における添付文書中の「使用上の注意」を適切に改訂するな どの対応が求められる。この場合、CCSIを含めCCDS(Company Core Data Sheet)については、GVP省令第7条第4号に規定する「外国法人からの情報」に該当するものとして、安全管理責任者は適切に当該情報の収集を行うと ともに、当該情報に基づき必要な措置を行うべくGVP省令に基づき適切に対応すること。
なお、GVP省令の施行に伴い、「新医療用医薬品に関する安全性定期報告制度について(平成9年3月27日付薬発第437号厚生省薬務局長通知)」の記の8「安全性定期報告制度に基づく報告が終了した新医療用医薬品について」は削除する。
エ.第1種製造販売業者は、安全管理実施責任者に安全管理情報の収集を行わせる場合、安全管理実施責任者に安全管理情報の収集に係る記録を作成させ、その記録を文書により安全管理責任者に報告させること。また、安全管理責任者はその報告を保存すること。
(6) 安全管理情報の検討及びその結果に基づく安全確保措置の立案(第8条関係)
ア.安全管理責任者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき以下に掲げる業務を行うこと。なお、 安全管理情報の検討、その結果に基づく安全確保措置の立案及び立案した安全確保措置の総括製造販売責任者への報告にあたっては、安全管理責任者は品質保証 責任者と密接な連携を図る必要があり、その連携方法等については製造販売後安全管理業務手順書等に予め定めておくこと。
@ 第8条の規定に基づき収集した安全管理情報及び第10条の市販直後調査に係る規定に基づき収集した安全管理情報について遅滞なく検討し、その結果を記録すること。
A 当該安全管理情報について、品質保証責任者が把握する必要があると認められる場合、上記@の検討過程であるか否かに関わらず、当該安全管理情報を品質保証責任者に遅滞なく文書で提供すること。
B 上記@の検討の結果、必要に応じ、廃棄、回収、販売の停止、添付文書の改訂、医薬情報担当者又は 医療機器情報担当者による医療関係者への情報提供、又は法第68条の8の規定に基づく感染症定期報告、法第77条の4の2の規定に基づく副作用等報告、若 しくは法第77条の4の3の規定に基づく回収報告など法に基づく厚生労働大臣への報告、その他の安全確保措置を立案すること。
C 上記Bの規定により立案した安全確保措置について、総括製造販売責任者に文書により報告し、その写しを保存すること。
イ.第1種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、安全管理実施責任者に安全管理情報の検討に必要な解析を行わせる場合、安全管理責任者に以下の業務を行わせること。
@ 安全管理実施責任者にその実施につき文書により指示し、その写しを保存すること。
A 安全管理実施責任者にその記録を作成させ、文書により安全管理責任者へ報告させるとともに、これを保存すること。
(7) 安全確保措置の実施(第9条関係)
ア.総括製造販売責任者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、以下に掲げる業務を行うこと。
@ GVP省令第8条第1項第4号の規定に基づき安全管理責任者より報告のあった安全確保措置案について、総括製造販売責任者はこれを適正に評価し、安全確保措置を決定するとともに、それらの記録を作成し、保存すること。
A 上記@により決定した安全確保措置について、総括製造販売責任者は安全管理責任者にその実施につき文書により指示し、これを保存させること。
B 上記@により決定した安全確保措置について、総括製造販売責任者はその一部又は全部を直接安全管理実施責任者に行わせることができること。この場合、当該業務を行わせる安全管理実施責任者に対し文書により指示するとともに、その写しを安全管理責任者に保存させること。
C 総括製造販売責任者が直接安全管理実施責任者に安全確保措置を行わせる場合(上記Bの場合)、当該安全管理実施責任者にその記録を作成させ、文書により総括製造販売責任者に報告させるとともに、その写しを安全管理責任者に交付させること。
D 総括製造販売責任者は、上記C又は下記イ.Cの報告を確認し、必要に応じ更なる措置を決定すること。以降の安全確保措置の実施にあたっては、上記@からCに準じて行うこと。
イ.安全管理責任者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、次に掲げる業務を行うこと。
@ 総括製造販売責任者の指示に基づき安全確保措置を実施し、その記録を作成し、保存すること。
A 安全管理責任者が総括製造販売責任者からの指示を受けた安全確保措置の一部又は全部を安全管理実施責任者に行わせる場合、安全管理責任者はその実施につき文書により指示し、その写しを保存すること。
B 安全管理責任者が安全管理実施責任者に上記Aの指示に基づき安全確保措置を実施させる場合、当該安全管理実施責任者にその記録を作成させ、文書によりその結果を報告させるとともに、これを保存すること。
C 上記@及びBの安全確保措置の結果について、総括製造販売責任者に対し文書により報告し、その写しを保存すること。
D 上記ア.Cの写しを保存すること。
ウ.総括製造販売責任者は、安全管理責任者から報告を受けた安全確保措置案を適正に評価し、安全確保 措置を決定するとともに、それらの記録を作成し、保存することが求められているところ(上記ア@参照)であるが、総括製造販売責任者による当該業務につい ては、安全管理責任者に行わせることができること。この場合、安全確保業務に遺漏がないよう、当該業務に係る総括製造販売責任者と安全管理責任者の所掌範 囲その他必要な事項を製造販売後安全管理業務手順書等に予め定めておくこと。
エ.第1種製造販売業者は、法第77条の4第1項において、医薬品・医療機器等の製造販売業者等は、 その製造販売をし、又は承認を受けた医薬品・医療機器等の使用によって保健衛生上の危害が発生し、又は拡大するおそれがあることを知ったときは、これを防 止するために廃棄、回収、販売の停止、情報の提供その他必要な措置を講じなければならない旨、規定されていることについても留意すること。
(8) 市販直後調査(第10条関係)
ア.総括製造販売責任者又は安全管理責任者は、以下に掲げる事項を記載した「市販直後調査実施計画 書」を作成すること。また、市販直後調査実施計画書を作成し、又は改訂したときは、市販直後調査実施計画書にその日付を記載し、これを保存すること。な お、市販直後調査実施計画書を総括製造販売責任者が業務を行う事務所に備え付けるとともに、市販直後調査を行うその他の事務所にその写しを備え付けるこ と。
@ 市販直後調査の目的
A 市販直後調査の実施の方法
B 市販直後調査の実施期間
C その他必要な事項
イ.安全管理責任者は、製造販売後安全管理業務手順書等及び市販直後調査実施計画書に基づき、市販直後調査に係る以下の業務を実施すること。
@ 市販直後調査が適正かつ円滑に行われているかどうか確認すること。
A 市販直後調査に関する記録を作成し、これを保存すること。
B 必要があると認めるときは市販直後調査実施計画書を改訂すること。
ウ.第1種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等及び市販直後調査実施計画書に基づき、安 全管理実施責任者に、市販直後調査業務のうち規則第97条各号に掲げる業務を行わせる場合には、安全管理実施責任者にその記録を作成させ、文書により安全 管理責任者に報告させるとともに、安全管理責任者にこれを保存させること。
エ.第1種製造販売業者は、市販直後調査に係る安全管理情報の収集、検討及びその結果に基づく必要な 措置について、それぞれGVP省令第7条、第8条及び第9条の規定に基づき実施すること。また市販直後調査の実施に関する記録については、医療機関毎にそ の記録を作成し、適切に管理すること。
(9) 自己点検(第11条関係)
ア.第1種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、製造販売後安全管理に関する業務について、製造販売業者が予め指定した者に自己点検を定期的に行わせること。予め指定した者としては、安全管理責任者でよいこと。
イ.安全管理責任者が自己点検を行う場合には、その記録を作成し、保存すること。また安全管理責任者以外の者が予め指定した者として自己点検を行う場合には、その記録を作成し、安全管理責任者に対し文書により報告し、安全管理責任者はこれを保存すること。
ウ.安全管理責任者は、上記イ.に基づく自己点検の結果を第1種製造販売業者及び総括製造販売責任者に文書により報告し、その写しを保存すること。
エ.自己点検の報告に基づき、第1種製造販売業者は総括製造販売責任者に製造販売後安全管理の改善が 必要であるか否か検討させること。第1種製造販売業者は総括製造販売責任者の意見を尊重するとともに、改善の必要性があるときは、第1種製造販売業者は総 括製造販売責任者に所要の措置を講じさせるなど必要な措置を講じるとともにその記録を作成し、それを安全管理責任者に保存させること。
(10) 製造販売後安全管理に関する業務に従事する者に対する教育訓練(第12条関係)
ア.総括製造販売責任者は、毎年、教育訓練計画を作成し、保存すること。教育訓練の対象者としては、総括製造販売責任者、安全管理責任者及び安全管理実施責任者を含むこと。
イ.第1種製造販売業者は、教育訓練計画及び製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、製造販売後安全管理に関する業務に従事する者に対して、製造販売業者が予め指定した者に定期的に教育訓練を行わせること。予め指定した者としては、安全管理責任者でよいこと。
ウ.安全管理責任者が教育訓練を行う場合には、その記録を作成し、保存すること。また安全管理責任者以外の者が予め指定した者として教育訓練を行う場合には、その記録を作成し、安全管理責任者に対し文書により報告し、安全管理責任者はこれを保存すること。
エ.安全管理責任者は、上記ウ.に基づく教育訓練の結果を総括製造販売責任者に文書により報告し、その写しを保存すること。
3.第2種製造販売業者(処方せん医薬品以外の医薬品又は管理医療機器の製造販売業者)の製造販売後安全管理の基準(第3章関係)
処方せん医薬品以外の医薬品又は管理医療機器を取り扱う製造販売業者については、当該製造販売業許 可の要件としてGVP省令第1章及び第5章の他、第3章が適用されるところ、第3章に関し以下の点に留意すること。なお、令第9条第1項の規定により、管 理医療機器に係る第2種医療機器製造販売業許可を受けた者は、一般医療機器に係る第3種医療機器製造販売業許可を受けたものとみなすこととされている。他 方、医薬品については、同一法人が第1種医薬品製造販売業許可及び第2種医薬品製造販売業許可の両方を受けて処方せん医薬品及び処方せん医薬品以外の医薬 品を取り扱う場合があり、この場合、当該法人は、第1種医薬品製造販売業に係る製造販売後安全管理と第2種医薬品製造販売業に係る製造販売後安全管理につ いて、必要に応じ適切に連携を図ること。
(1) 安全確保業務に係る組織及び職員(第13条関係)
GVP省令第2章との比較において、安全確保業務の組織及び職員に係る以下の事項については、GVP省令第3章にその規定は設けられてないが、製造販売業者によるその実施を妨げるものではないこと。その他については上記2.(2)と同様であること。
ア.安全管理統括部門を設置すること。
イ.安全管理責任者の資格要件として、安全確保業務その他これに類する業務に3年以上従事した者であること。
ウ.安全確保業務のうち、規則第97条に規定する「委託可能な業務の範囲」に該当する業務を当該製造販売業者の安全管理責任者以外の者に実施させる場合の安全管理実施責任者を設置すること。
(2) 準用規定(第14条関係)
第2種製造販売業者については、GVP省令第3条及び第5条から第12条まで(第5条第1項第5号、第7条第2項、第8条第2項、第9条第2項第2号及び同項第3号並びに第10条第5項を除く。)を準用すること。具体的には以下のとおりであること。
ア.総括製造販売責任者の業務
上記2.(1)と同様であること。
イ.製造販売後安全管理業務手順書等
第2種製造販売業者については、安全管理実施責任者の設置を許可要件として求めていないことから、 GVP省令第5条との比較において「安全管理実施責任者から安全管理責任者への報告に関する手順」(GVP省令第5条第1項第5号)について準用していな いこと。その他については、上記2.(3)と同様であること。
ウ.安全管理責任者の業務
上記2.(4)と同様であること。
エ.安全管理情報の収集
GVP省令第7条との比較において、安全管理実施責任者による安全管理情報の収集についての規定(GVP省令第7条第2項)を準用していないこと。その他については上記2.(5)と同様であること。
オ.安全管理情報の検討及びその結果に基づく安全確保措置の立案
GVP省令第8条との比較において、安全管理実施責任者による検討に必要な解析についての規定(GVP省令第8条第2項)を準用していないこと。その他については上記2.(6)と同様であること。
カ.安全確保措置の実施
GVP省令第9条との比較において、安全管理責任者が安全管理実施責任者に安全確保措置を行わせる ことに関する規定(GVP省令第9条第2項第2号及び第3号)を準用していないこと。また、GVP省令第9条第1項第3号及び第4号に関する読替規定に基 づき、総括製造販売責任者が決定した安全確保措置について、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき安全管理責任者以外の者にこれを実施させることができ ること。その他については上記2.(7)と同様であること。
キ.市販直後調査
GVP省令第10条との比較において、安全管理実施責任者による市販直後調査に関する規定(GVP省令第10条第5項)を準用していないこと。その他については上記2.(8)と同様であること。
ク.自己点検
上記2.(9)と同様であること。
ケ.製造販売後安全管理に関する業務に従事する者に対する教育訓練
上記2.(10)と同様であること。
4.第3種製造販売業者(医薬部外品、化粧品又は一般医療機器の製造販売業者)の製造販売後安全管理の基準(第4章関係)
医薬部外品、化粧品及び一般医療機器を取り扱う製造販売業者については、当該製造販売業許可の要件としてGVP省令第1章及び第5章の他、第4章が適用されるところ、第4章に関し以下の点に留意すること。
(1) 準用規定(第15条関係)
第3種製造販売業者については、GVP省令第3条、第6条から第9条まで及び第13条(第7条第2項、第8条第2項並びに第9条第2項第2号及び同項第3号を除く。)を準用すること。具体的には以下のとおりであること。
ア.総括製造販売責任者の業務
上記2.(1)と同様であること。
イ.安全確保業務に係る組織及び職員
第13条を準用しており、第3章の規定と同様であること。GVP省令第2章との比較において、安全 確保業務の組織及び職員に係る以下の事項については、GVP省令第4章にその規定は設けられてないが、製造販売業者によるその実施を妨げるものではないこ と。その他については上記2.(2)と同様であること。
@ 安全管理統括部門を設置すること。
A 安全管理責任者の資格要件として、安全確保業務その他これに類する業務に3年以上従事した者であること。
B 安全確保業務のうち、規則第97条に規定する「委託可能な業務の範囲」に該当する業務を当該製造販売業者の安全管理責任者以外の者に実施させる場合の安全管理実施責任者を設置すること。
ウ.製造販売後安全管理業務手順書等
第3種製造販売業者については、GVP省令第5条を準用していないが、製造販売業者による手順書等文書の整備を妨げるものではなく、一定の業務を行う観点からその整備は望ましいこと。
エ.安全管理責任者の業務
上記2.(4)と同様であること。
オ.安全管理情報の収集
GVP省令第7条との比較において、安全管理実施責任者による安全管理情報の収集についての規定 (GVP省令第7条第2項)を準用していないこと。なお、医薬部外品及び化粧品の製造販売業者については、第2号(学会報告、文献報告その他研究報告に関 する情報)及び第6号(その他安全管理情報)が安全管理情報の収集対象であるが、その他の関係する安全管理情報についても積極的に収集すること。その他に ついては上記2.(5)と同様であること。
カ.安全管理情報の検討及びその結果に基づく安全確保措置の立案
GVP省令第8条との比較において、安全管理実施責任者による検討に必要な解析についての規定(GVP省令第8条第2項)を準用していないこと。その他については上記2.(6)と同様であること。
キ.安全確保措置の実施
GVP省令第9条との比較において、安全管理責任者が安全管理実施責任者に安全確保措置を行わせる ことに関する規定(GVP省令第9条第2項第2号及び第3号)を準用していないこと。また、GVP省令第9条第1項第3号及び第4号に関する読替規定に基 づき、総括製造販売責任者が決定した安全確保措置について、安全管理責任者以外の者にこれを実施させることができること。また、GVP省令第9条第3項に 関する読替規定に基づき、文書により予め定めた事項について、総括製造販売責任者が行う安全確保措置の決定に関する業務を安全管理責任者に行わせることが できること。その他については上記2.(7)と同様であること。
ク.市販直後調査
GVP省令第4章に該当する規定はないこと。
ケ.自己点検
GVP省令第4章に該当する規定は設けられてないが、実施することが望ましいこと。
コ.製造販売後安全管理に関する業務に従事する者に対する教育訓練
GVP省令第4章に該当する規定は設けられてないが、実施することが望ましいこと。
5.雑則(第5章関係)
ア.GVP省令の規定により保存することとされている文書その他の記録の保存期間は、当該記録を利用 しなくなった日から5年間とすること。但し、以下に掲げるものに係る文書その他の記録の保存期間はそれぞれ記載のとおりであること。なお、「利用しなく なった日」とは、例えば当該品目について承認整理した日が該当すること。
@ 生物由来製品(特定生物由来製品及び特定保守管理医療機器及び規則第93条に規定する設置管理医療機器を除く。)については、利用しなくなった日から10年間とすること。
A 特定生物由来製品については、利用しなくなった日から30年間とすること。
B 特定保守管理医療機器及び規則第93条に規定する設置管理医療機器(それぞれ特定生物由来製品を除く。)については、利用しなくなった日から15年間とすること。
C 自己点検及び教育訓練に関する記録については、作成した日から5年間とすること。
イ.製造販売業者は、GVP省令の規定にかかわらず、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、この省令の規定に基づき記録を保存しなければならないとされている者に代えて、製造販売業者が予め指定する者に、当該記録を保存させることができること。
また、この省令に規定する文書及び記録については、電磁的記録により作成し、保存することができること。
ウ.GVP省令に規定する文書による報告又は指示(受託者に対する文書による指示については下記第3を参照のこと。)については、電磁的記録により行うことができること。
エ.GPMSP省令に基づき保存することとされている文書その他の記録のうち、GPMSP省令第8条 (適正使用情報)、同第9条(適正使用情報の検討及びその結果に基づく措置)、同第9条の2(市販直後調査)、同第12条(自己点検)及び同第13条(市 販後調査業務に従事する者に対する教育訓練)に関するもの並びにこれら各条に関する同第5条に規定する市販後調査業務手順書等については、GVP省令施行 日以降も上記アと同様に保存すべきこと。この場合、当該品目を取り扱う製造販売業者は、GVP省令施行日以降速やかに、当該文書その他の記録を保有する旧 法下の医薬品製造業者若しくは輸入販売業者又は外国製造承認取得者若しくは国内管理人より引き継ぐこと。
オ.「医療用具安全性情報の収集等の徹底について(平成13年3月30日付医薬発第296号医薬局長通知)」に基づき保存することとされている文書その他の記録についても、上記エ.と同様に取り扱うべきこと。
カ.承継に際しては、法第14条の8第1項の規定に基づき、当該品目に係る厚生労働省令で定める資料 及び情報について承継する必要がある。当該厚生労働省令に関し、規則第69条第1項第9号として、製造販売後安全管理の業務に関する資料及び情報について は承継先に引き継ぐ必要があるところ、右規定に留意するとともに、上記エ.及びオ.についても承継の際には同様に引き継ぐこと。
キ.製造販売業者は、製造販売後安全管理に関する業務を行うに際しては、個人情報の取扱いに十分配慮し、書類を廃棄する際を含めその情報管理には遺漏なきを期すこと。
6.附則
GVP省令については、平成17年4月1日から施行することとしたこと。
第3 薬事法第18条第3項の規定に基づく製造販売後安全管理に係る業務の委託
(1) 製造販売後安全管理に係る業務を委託することができる範囲について(規則第97条関係)
ア.製造販売業者が委託できる製造販売後安全管理に関する業務の範囲については以下のとおり規定されていること。
@ 安全管理情報の収集
A 安全管理情報の解析(製造販売業者の責任下で行うべき評価等を含まない。)
B 安全管理情報の検討の結果に基づく必要な措置の実施(添付文書改訂に際しての医療機関に対する情報提供、回収に際しての医療機関からの製品の引き上げ等)
C 収集した安全管理情報の保存その他の前各号に付帯する業務
イ.製造販売業者が委託できる製造販売後安全管理に関する業務の範囲のうち、安全管理情報の解析とは、安全管理情報の検討に際して事前に安全管理情報を統計的に解析することなどを意味し、製造販売業者の責任で行われるべき安全確保措置の立案といった行為を含まないこと。
ウ.製造販売業者が委託できる製造販売後安全管理に関する業務の範囲のうち、収集した安全管理情報の 保存その他の前各号に付帯する業務とは、例えば、収集した安全管理情報を他社に依頼して保管すること、収集した安全管理情報を他社に依頼してデータ入力す ることなどが該当すること。
エ.製造販売後安全管理に関する委託業務について、委託者及び受託者は、個人情報の取扱いに配慮し、書類を廃棄する際を含めその情報管理には遺漏なきを期すこと。
(2) 製造販売後安全管理における再委託の禁止について(規則第98条関係)
製造販売業者は、製造販売後安全管理業務を受託する者に、当該業務を再委託させてはならないこと。
(3) 処方せん医薬品又は高度管理医療機器の製造販売後安全管理に係る業務委託について(規則第98条の2関係)
ア.標記製造販売業者が上記(1)ア.@からBの業務を委託する場合、当該業務についてはGVP省令中の安全管理実施責任者に係る規定に準拠して実施すること。
イ.標記製造販売業者が上記(1)ア.@からBの業務を委託する場合、当該委託を受ける者としては、次の要件を満たしていること。
@ 委託する業務(委託安全確保業務)を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有すること。
A 委託安全確保業務を適正かつ円滑に実施しうる範囲の業務毎に、その実施責任者として受託安全管理実施責任者を置いていること。
B 委託安全確保業務に係る製造販売後安全管理業務手順書その他委託安全確保業務に必要な文書(製造 販売後安全管理業務手順書等)の写しを委託安全確保業務を行う事務所に備え付けていること。委託安全確保業務に係る製造販売後安全管理業務手順書として は、下記ウ参照のこと。
その他委託安全確保業務に必要な文書としては、当該委託安全確保業務の円滑な実施のために必要な事 項を文書として定めたもの(例えば手順書の細則等)、その取り扱う処方せん医薬品又は高度管理医療機器の安全性に関する文書(例えば当該品目に係る添付文 書、当該品目に係る承認申請時の安全性に関する必要な資料など)その他必要な文書などが該当すること。
また、「委託安全確保業務に係る製造販売後安全管理業務手順書その他委託安全確保業務に必要な文 書」については、委託を行おうとする製造販売業者が受託者に応じた手順書その他必要な文書を適宜作成しこれを受託者に交付してもよいし、委託を行おうとす る製造販売業者のGVP省令第5条に基づく手順書等のうち委託関連部分について適切な読替を施した手順書等を交付することでも委託業務に支障のない限り差 し支えないこと。
ウ.標記製造販売業者が上記(1)ア.@からBの業務を委託する場合、製造販売業者は次に掲げる手順を記載した委託安全確保業務手順書を作成すること。
@ 安全管理情報の収集に関する手順
A 安全管理情報の検討及びその結果に基づく安全確保措置の立案に関する手順
B 安全確保措置の実施に関する手順
C 受託安全管理実施責任者から安全管理責任者への報告に関する手順
D 市販直後調査に関する手順
E 委託の手順
F 委託安全確保業務に係る記録の保存に関する手順
G 品質保証責任者その他の処方せん医薬品又は高度管理医療機器の製造販売に係る業務の責任者との相互の連携に関する手順
H その他委託安全確保業務を適正かつ円滑に行うために必要な手順
エ.標記製造販売業者が上記(1)ア.@からBの業務を委託する場合、製造販売業者は、委託手順書など製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、以下に掲げる事項を記載した文書により受託者との契約を締結し、その契約書を保存すること。
@ 委託安全確保業務の範囲
A 受託安全管理実施責任者の設置及びその実施する委託安全確保業務の範囲に関する事項
B 委託安全確保業務に係る手順に関する事項(委託の手順に関することを除く。)
C 委託安全確保業務の実施の指示に関する事項
D 委託安全確保業務に関する記録を受託安全管理実施責任者が作成し文書により安全管理責任者に報告すること及び安全管理責任者により受託者が委託安全確保業務を適正かつ円滑に行っているかどうかを確認しその記録を作成することに関する事項
E 安全管理責任者が委託安全確保業務の改善の必要があると認める場合製造販売業者が受託者に所要の措置を講じるよう文書により指示すること及び製造販売業者が当該指示を行った場合には当該措置が講じられたことを確認することに関する事項
F 製造販売業者が委託安全確保業務を行う上で必要な情報を受託者に提供することに関する事項
G その他必要な事項
オ.標記製造販売業者が上記(1)ア.@からBの業務を委託する場合、製造販売後安全管理手順書等及び上記エ.の契約書に基づき、安全管理責任者は以下の業務を行うこと。
@ 委託安全確保業務を統括すること。
A 安全管理情報の解析又は安全管理情報の検討の結果に基づく必要な措置の実施に際して、受託安全管 理実施責任者に対しその実施につき文書により指示し、その写しを保存すること。なお、安全管理情報の収集業務を委託する場合については、契約書等に基づき 定常的にその実施を委託することが一般的と考えられることから、このような定常的な情報収集の実施についての安全管理責任者の文書による指示については不 要としたこと。
B 委託安全確保業務に関する記録を受託安全管理実施責任者に作成させ、文書により報告させること。
C 受託者が委託安全確保業務を適正かつ円滑に行っているかどうかを確認し、その記録を作成すること。
D 上記B及びCの記録を保存し、製造販売業者及び総括製造販売責任者に対し文書により報告すること。
カ.標記製造販売業者が市販直後調査に係る上記(1)ア.@からBの業務を委託する場合、当該委託業務は製造販売後安全管理業務手順書等及び市販直後調査実施計画書に基づき実施すること。また安全管理責任者は以下に掲げる業務を実施すること。
@ 受託安全管理実施責任者に市販直後調査に係る委託安全確保業務に関する記録を作成させ、文書により報告させること。
A 上記@の報告を保存すること。
キ.標記製造販売業者が上記(1)ア.Cの業務を委託する場合、当該委託安全確保業務を適正かつ円滑 に遂行しうる能力を有する者に委託すること。また、この場合、製造販売業者は製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、以下に掲げる事項を記載した文書に より受託者との契約を締結し、その契約書を保存すること。
@ 委託安全確保業務の範囲
A その他必要な事項
ク.安全管理責任者は委託安全確保業務についてその改善の必要性がないか必要に応じ検討すること。安 全管理責任者が委託安全確保業務の改善の必要があると認める場合、安全管理責任者はそれを製造販売業者及び総括製造販売責任者に対して報告し、報告を受け た製造販売業者は、委託契約書及び製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、必要に応じ受託者に所要の措置を講じるよう文書により指示し、その文書を保存 すること。また、製造販売業者が当該指示を行った場合、製造販売業者は指示に基づき当該措置が行われたことを確認し、その記録を保存すること。
ケ.標記製造販売業者は、委託安全確保業務を行う上で必要な情報を受託者に提供すること。
コ.GPMSP省令第14条第2項の規定に基づく契約その他の委託契約であって上記(1)アに関する ものについて、製造販売業者は、委託者が旧法下の製造業者若しくは輸入販売業者又は外国製造承認取得者若しくは国内管理人等製造販売業者より新法下の製造 販売業者へ変更されることだけでなく、本件規則への適合性を評価するとともに、必要に応じた当該契約の一部変更又は新たな契約を行うこと。
(4) 処方せん医薬品以外の医薬品又は管理医療機器の製造販売後安全管理に係る業務委託について(規則第98条の3関係)
標記製造販売業者による委託にあたっては、規則第98条の2(第1項第2号、第2項第4号及び第3項第2号を除く。)を準用すること。上記(3)との比較においては、イA、ウC及びエAを除いて(3)を準用すること。
処方せん医薬品以外の医薬品又は管理医療機器の製造販売後安全管理に係る業務委託と、処方せん医薬 品又は高度管理医療機器の製造販売後安全管理に係る業務委託(上記(3))との違いは、基本的に、受託安全管理実施責任者の設置に関することを除き同様で あるが、標記製造販売業者と受託者側の合意に基づき受託者側に業務実施に係る責任者を設置することを妨げるものでないこと。
なお、委託安全確保業務(市販直後調査に係る委託安全確保業務を含む。)に関する安全管理責任者か らの必要な指示(安全管理情報の収集に係る委託業務を除く。)、委託安全確保業務に係る記録の作成及び委託安全確保業務の安全管理責任者への報告を円滑に 実施すべく、当該業務に係る受託者側に予め担当者を指定し、委託者―受託者間で文書により合意しておくこと。なお、当該指定した者については、必ずしも委 託に係る契約書に明記する必要はなく、契約とは別途合意しても差し支えないこと。
(5) 医薬部外品、化粧品又は一般医療機器の製造販売後安全管理に係る業務委託について(規則第98条の4関係)
標記製造販売業者による委託にあたっては、規則第98条の2第1項第1号及び同上第3項から第9項まで(第3項第2号、同項第3号及び第5項を除く。)を準用すること。上記(3)との比較においては、イA及びイB、ウ、エA及びB並びにカを除いて(3)を準用すること。
医薬部外品、化粧品又は一般医療機器の製造販売後安全管理に係る業務委託と、処方せん医薬品又は高 度管理医療機器の製造販売後安全管理に係る業務委託(上記(3))との違いは、基本的に、受託安全管理実施責任者の設置に関すること、製造販売後安全管理 業務手順書等に関すること及び市販直後調査に関することを除き同様であるが、標記製造販売業者と受託者側の合意に基づき受託者側に業務実施に係る責任者を 設置すること及び手順書等を整備することにつき妨げるものではないこと。
なお、委託安全確保業務に関する安全管理責任者からの必要な指示(安全管理情報の収集に係る委託業 務を除く。)、委託安全確保業務に係る記録の作成及び委託安全確保業務の安全管理責任者への報告を円滑に実施すべく、当該業務に係る受託者側に予め担当者 を指定し、委託者―受託者間で文書により合意しておくこと。なお、当該指定した者については、必ずしも委託に係る契約書に明記する必要はなく、契約とは別 途合意しても差し支えないこと。
(6) 製造販売後安全管理に係る業務の委託に関する記録の保存について(規則第98条の5関係)
ア.規則第98条の2から第98条の4までの規定により保存することとされている文書その他の記録の 保存期間については、基本的にGVP省令での規定と同様であること。即ち、以下に掲げる記録を除き、当該記録を利用しなくなった日から5年間とすること。 但し以下に掲げる記録の保存期間はそれぞれ記載のとおりであること。具体的には、GVP省令に係る上記「第2、5.雑則(第5章関係)」を参照のこと。
@ 生物由来製品(特定生物由来製品及び特定保守管理医療機器及び規則第93条に規定する設置管理医療機器を除く。)については、利用しなくなった日から10年間とすること。
A 特定生物由来製品については、利用しなくなった日から30年間とすること。
B 特定保守管理医療機器及び規則第93条に規定する設置管理医療機器(それぞれ特定生物由来製品を除く。)については、利用しなくなった日から15年間とすること。
イ.製造販売業者は、規則第98条の2から第98条の4の規定にかかわらず、当該規定に基づき記録を 保存しなければならないとされている者に代えて、製造販売業者が予め指定する者に、当該記録を保存させることができること。この場合、当該文書保存責任者 を予め製造販売後安全管理業務手順書等又は文書に定めておくこと。
ウ.GPMSP省令に基づき保存することとされている文書その他の記録のうち、GPMSP省令第8条 (適正使用情報の収集)、同第9条(適正使用情報の検討及びその結果に基づく措置)及び同第9条の2(市販直後調査)に係る同第14条(市販後調査業務の 委託)に規定する文書その他の記録については、GVP省令施行日以降も上記アと同様に保存すべきこと。この場合、当該品目を取り扱う製造販売業者は、 GVP省令施行日以降速やかに、当該文書その他の記録を保有する旧法下の医薬品製造業者若しくは輸入販売業者又は外国製造承認取得者若しくは国内管理人よ り引き継ぐこと。
エ.「医療用具安全性情報の収集等の徹底について(平成13年3月30日付医薬発第296号医薬局長通知)」に基づき保存することとされている委託に係る文書その他の記録についても、上記ウ.と同様に取り扱うべきこと。
オ.承継に際しては、法第14条の8第1項の規定に基づき、当該品目に係る厚生労働省令で定める資料 及び情報について承継する必要がある。当該厚生労働省令に関し、規則第69条第1項第9号として、製造販売後安全管理の業務に関する資料及び情報について は承継先に引き継ぐ必要があるところ、右規定に留意するとともに、上記ウ.及びエ.に係る資料及び情報についても承継の際には同様に引き継ぐこと。
(7) その他
ア.製造販売業者は、規則第98条の2から第98条の4に規定する文書及び記録について、電磁的記録 により作成し、保存することができること。また、製造販売業者は、規則第98条の2から第98条の4に規定する文書による報告又は指示について、電磁的記 録により行うことができること。
イ.製造販売業者は、製造販売後安全管理に係る業務の一部を委託する際の契約について、文書による契 約に代えて、当該受託者の承諾を得て、電子情報処理組織を利用する方法その他の情報通信の技術を利用する以下の方法により行うことができること。この場合 において、当該製造販売業者は、当該文書による契約をしたものとみなすこと。
@ 電子情報処理組織(製造販売業者の使用に係る電子計算機と、受託者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法
イ.製造販売業者の使用に係る電子計算機と受託者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、それぞれの使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
ロ.製造販売業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された契約を電気通信回線を通じ て受託者の閲覧に供し、当該受託者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法(電磁的方法による契約を行う旨の承諾又は契約を行わない旨 の申出をする場合にあっては、製造販売業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
A 磁気ディスク、CD―ROMその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもつて調製するファイルに契約を記録したものを交付する方法
ウ.上記イ.の情報通信の技術を利用する方法により行う契約については、次に掲げる技術的基準に適合するものでなければならないこと。
@ 製造販売業者及び受託者がファイルへの記録を出力することによる文書を作成することができるものでなければならないこと。
A ファイルに記録された文書に記載すべき事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること。
エ.製造販売業者は、上記イ.の情報通信の技術を利用する方法により契約を行おうとするときは、あらかじめ、当該受託者に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、文書又は電磁的方法による承諾を得ること。
@ 第一項各号に規定する方法のうち製造販売業者が使用するもの
A ファイルへの記録の方式
オ.上記エ.による承諾を得た製造販売業者は、当該受託者から文書又は電磁的方法により電磁的方法に よる契約を行わない旨の申出があったときは、当該受託者に対する契約を電磁的方法によってしてはならないこと。ただし、当該受託者が再び電磁的方法による 契約を承諾した場合はこの限りでないこと。
カ.製造販売業者が受託者に対して文書による指示を行う場合、当該受託者の承諾を得て、電磁的方法により行うことができること。この場合、上記アからオの必要な読み替えを行った上でこれを準用すること。
キ.製造販売業者は、製造販売後安全管理に関する業務を行うに際しては、個人情報の取扱いに十分配慮し、書類を廃棄する際を含めその情報管理には遺漏なきを期すこと。
(8) 附則
改正後の施行規則については、平成17年4月1日から施行することとしたこと。